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研究テーマ 南西諸島における近世陶磁器の生産と流通の考古学的研究
所 属・氏 名 法文学部・渡辺芳郎
島 嶼 名 トカラ,奄美,沖縄
キーワード 薩摩焼 沖縄産陶器 技術交流 陶磁器流通
要  旨  南西諸島(トカラ・奄美・沖縄)における近世陶磁器の生産と流通について考古学的に検討している。
 生産的側面としては,鹿児島の薩摩焼と沖縄産陶器の技術交流について検討している。沖縄における施釉陶器の出現には,1616年の苗代川(日置市美山)の陶工の渡琉が契機となっており,また18世紀半ばにも薩摩焼系技術の導入が文献に記されている。このような陶器製作技術における薩琉関係を窯跡出土資料の比較検討を通じて,具体的な実態にアプローチしようと試みている。
 流通的側面としては,トカラ・奄美の遺跡から出土する陶磁器資料や当該地域に残る伝世品を中心に検討し,近世において各島の人々が生活用品としてどのような陶磁器を使用していたかを明らかにしようとしている。奄美では薩摩焼を含む本土産陶磁器と沖縄産陶器がほぼ半々で使用しており,トカラへと北上するにつれ本土産陶磁器の比率が高くなる可能性を予想している。また沖縄経由の中国清朝磁器の出土も見られ,それらの比率を島嶼域ごとに検討することで,文献にはほとんど残っていない,南西諸島における近世陶磁器流通と使用の実態を明らかにする。
文  献 ・論文
・ 渡辺芳郎2004「近世陶磁器から見た鹿児島と沖縄」『第5回沖縄考古学会・鹿児島県考古学会合同学会研究発表資料集「20年の成果と今後の課題」』pp.63-78
・ 渡辺芳郎2006「鹿児島県本土地域出土の近世沖縄産陶器」『陶磁器の社会史』桂書房 pp.141-152
・ 渡辺芳郎2010「明治期の南西諸島における陶磁器流通-『鹿児島県勧業年報』から-」『からから』No.26 pp.13-20(鹿児島陶磁器研究会)

・ 学会発表・講演会等
・ 渡辺芳郎2009「江戸時代の陶磁器からみた薩摩と琉球」沖縄県立埋蔵文化財センター第35回文化講座(於 沖縄県立埋蔵文化財センター)
・ 渡辺芳郎2010「南西諸島における薩摩焼流通」喜界町教育文化講座(於 喜界町公民館)
・ 渡辺芳郎2010「薩摩焼と壺屋焼-近年の考古学的成果から-」『琉球陶器の来た道』展プレイベント「沖縄の焼物のルーツを探る」(於 那覇市壺屋町民会館)

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