要 旨
| 大島地域においては、自給飼料生産は同じ土地利用作目であるサトウキビ生産と栽培面積拡大の面で競合しており、生産拡大が限界の様相を呈するとともに、最近の飼料高騰により生産コストが増大し、肉用牛生産経営を圧迫している。肉用牛の飼料および副資材を確保するためには、サトウキビ収穫・製糖時に生じる副産物を余すところなく利用することが考えられ、梢葉や展開葉を含む付着葉は注目すべきバイオマスであり、その発生量と潜在価値を明らかにした。その結果、機会収穫が普及しておらず、製糖工場に夾雑物除去施設が導入されていない与論島を除いた大島地域では、当該年の収穫原料によっても異なるが、付着葉を主とする夾雑物が年間約8,500t、すなわちハーベスタ収穫原料の約8%発生することが明らかとなった。また、付着葉の栄養価や嗜好性に問題があるため、飼料化については他の低・未利用資源との組み合わせにより高度利用を図る必要があり、敷料等副資材の供給量も絶対的に不足していることから、その代替物の素材として付着葉が飼料化と併せて有望視されることを指摘した。ただし、付着葉については吸湿性に問題があるため、解繊処理等の高度処理を施した後、敷料として利用することを検討すべきであると提唱した。 |