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研究テーマ 屋久島と鹿児島におけるポンカンとタンカンの果実の発育と品質の比較
所 属・氏 名 冨永茂人・坂上陽美・中村一英・小崎格
島 嶼 名 屋久島
キーワード 屋久島 ポンカン タンカン 果実発育 品質
要  旨 屋久島産のポンカンとタンカンの果実は鹿児島産の果実に比べて発育良好で果実の横径,縦径,果実重ともに大きいこと,さらに酸含量や糖酸比から見た果実品質は非常に良好であることが明らかであり,果実の発育と品質の面からみて,屋久島は鹿児島市に比べてポンカンとタンカンの栽培適地であることが示された。しかし,果汁の糖度は必ずしも鹿児島産果実に比べて高くないこと,これは屋久島産果実では1果当たりの総糖含量は高いものの,屋久島では秋冬季の気温が温暖で降雨も多く,この時期の果実の肥大が大きいために,糖度が希釈されることによるものと考えられた。屋久島のポンカン,タンカンでは秋冬季の温暖な気象条件により葉緑素の分解が遅れ,鹿児島市に比べて着色の進展が遅れるが慣行的収穫期には十分着色することが示された。これらの点は単年度の調査であるために再度調査する必要がある。
また,収穫時のポンカン,タンカンの果実のじようのうと砂じようの数と重量について屋久島産果実と鹿児島産果実を比較したところ,ポンカン,タンカンともに屋久島産果実は鹿児島産果実に比べて, じようのう当たりの砂じよう数が多く,さらに砂じよう重も大きく, じようのう数は差がないもののじようのう重は大幅に大きくなることが示された。これも,屋久島では秋冬季の気温が温暖でポンカン,タンカンともに鹿児島市よりも果実の発育期間が長くなることによるものと考えられた。特に2月が収穫期であるタンカンではこの影響が大きく,鹿児島産果実に比べて屋久島産果実で果実重が大幅に大きくなった。
以上のように,屋久島はポンカンとタンカンの栽培適地であり,大果で品質良好な果実を生産できることが示され,果樹栽培は屋久鳥における重要な産業と考えられた。
文  献 ・1 )鹿児島県熊毛支庁:平成5年度熊毛地域の概況, pp.1-231, 1994.
・ 2 )国立天文台:理科年表, pp.194-213, 1994.
・ 3 )屋久島農業改良普及所:平成5年度農業改良普及指導計画書,pp.1-19, 1994.
・ 4 )山崎利彦・鈴木勝征:果実の成熟度判定のためのカラーチャートの作成とその利用に関する研究(第l報)カラーチャートの色特性,果樹試報A-7, 19-44, 1980.
画  像
 


 


 


 

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